「盆栽」は毎日手をかけ世話をすることであなたの心に応えてくれます。
一日・一ヶ月・一年・三年・と時間が過ぎてゆきます。

盆栽はだまって見ているだけで成長し着実に育ち年を重ねてゆきます。
しかし盆栽は半年・一年すぎたからといって、目に見えるほどの成長や変化はのぞめません。「水が欲しい」・「肥料が欲しい」・「日陰に移して」なんてあなたに話し掛けることも出来ません。

ただ黙っているだけです。

しかし一日一日確実に成長し変化しています、ただ「ゆっくり」なだけです。
私たちが忘れてきてしまったなにかがそこに見えるような気もします。

｢スローライフ｣なんてことばが聞かれるこの頃ですが、現在はあまりにも何事においても急ぎすぎています、劇的な変化を望みすぎています。

木々は着実に一日一日を生き成長し成熟に向かっています。
そんな寡黙な木々をあなたが優しい気持ちで見守ってやってはどうでしょう。

毎日「コツコツコツ」同じことを繰り返す。

水をやらなければ木は枯れてしまいます。強い日差しに暑がります、風通しが悪ければ病気にも掛かります、根ずまりを起こせば根ぐされや水切れを起こします。

毎日続ける、継続して世話をする。
とても意味がある大切なことのように思います。
今忘れられている「和」の心が見えるような気もします。

盆栽は「ゆるやか」で「ゆっくり」の成長しかしません。だから美しく・尊いのではないでしょうか。

そんな盆栽に急激な変化を与えてしまう。
植え替えてはいけない時期に植え替えをしたり、日陰から急に強い日差しにさらしてしまったり、肥料をやりすぎたりそんなことをしたら盆栽は弱ってしまいます。

最悪の場合枯れてしまうでしょう。

だからといって何もかまわないで放っておいても弱り枯れてしまいます。
その辺のさじ加減がとても大切な部分であると思います。

「盆栽」の気分を確かめながら今日は肥料は大丈夫かな？そろそろ水をやらないと水切れかな？植え替えてやらないと根ずまりをおこしてしまうかななんて盆栽のご機嫌を伺う必要が出てくるわけです。

それはそうですよね、大自然を小さな植木鉢のなかでつくり維持していこうとしているわけですから。

「盆栽は人生そのものだ」なんて「盆栽好き」の言葉を聞くことがあります。
盆栽を育ていますと自分の営みと盆栽とが重なり、「人生が盆栽に写ってしまう」そんな気持ちになります。

ゆっくり・ゆっくり育てましょう。