さくらんぼ
妻と二人で「園芸店」で「さくらんぼ」の苗を購入した。
買ったきっかけはといえば出先で衝動買いした、このことに尽きる。
はじめから計画的に苗を購入したわけではない。
たまたま立ち寄った「ホームセンター」きれいな花の苗をあれこれ見ている間に目の前に飛び込んで来たのが、「赤い実」の写真をぷらぷら風に揺らす「さくらんぼ」の果樹苗であった。
妻が突然後ろで言った、「お父さんこれ買って帰ってどこかに植えてよ。」
急だったので私も迷ったのではあるが一応手にとって苗を見ることにする。
妻は気まぐれで時々衝動買いをする
良く見ると同じに見えた果樹苗だがどうも種類が何種類もあるようで、そこでまた二人で迷うことになる。
ホームセンターの「園芸コーナー」は園芸ブームなのか馬鹿にできない品揃えで小さな園芸屋さんに負けない充実ぶりだ。
種類も豊富で選ぶのに迷うほどだ。迷いながらいろいろ思い悩むのも楽しいのだが、いつまで見ていてもきりがないので「佐藤錦」と書かれた苗を購入することにした。
特に女性は買い物が好きなようでデパートなど一緒に買い物に行くと時間を忘れて買い物に没頭している。
とても付き合いきれないので私はいつも「本のコーナーにいるから終わったらきてくれ」といって買い物から逃れるのだ。
ホームセンターでも例外ではない、自分の買いたいもの以外のものでも端から順に見ていっていつまで経っても買い物が終わらないのだ。
そんなときは後ろから行って「はやくしろ、はやくしろ」といいながら買い物をせかせるのである。
それはともかくとして「佐藤錦」である。苗は一メートルくらいの高さの『接木苗」で根は根巻きになっていて土に穴を掘って植えるだけでいいとても扱いやすいものである。
買ってきた苗は敷地が狭いのでなるべく邪魔にならない場所に植えることになった。
どのくらい大きくなるのかもわからないのでとりあえず余裕の持てる場所が条件だ。 その後「さくらんぼ」の苗は順調に成長し花時には綺麗な花を沢山つけるまでに成長し、当然「実」も沢山収穫することができた。
植えてから三年くらい経ったと思う。
ここまでは真に順調に成長した。しかも取れた果実は「おいしい」とくればもう言うことはない。
二人でさくらんぼの果実を十分に堪能し今度は毎年おいしいさくらんぼを味わえるはずであった。
事件は突然起きた。
翌年の収穫間じかに迫ったある日のこと、鳥の鳴き声がやけにうるさいと感じた。
どうも我が家の「さくらんぼの木」の方角からのようだ。
「ギャー、ギャー」と騒ぐ鳥の声だ、どうしたんだ?
最初は何がなんだか分からなかった、良く見るとその鳥が「さくらんぼ」を食べていることが分かった。
見ると一羽ではない、ざっと数えても20羽はいた。
集団で我が家のさくらんぼを「泥棒」しているのだ。
あっというまのできごとだった、
やっと色づき始めた「さくらんぼ」だったが見事に食べられていた、しかも色づき始めたおいしそうな「さくらんぼ」ばかりを。
当然「頭にきた」。怒り心頭で思わず「石」を手にしていた。そんなことがあってから何とか鳥に食べられないように工夫してみたものの結局全部やられてしまった。
後で鳥の種類を調べてみたら犯人は「百舌」だったことが分かった。
10羽とか20羽とか集団で襲ってくるのには、参ってしまった、黙ってみているしかなかった。
翌年も同じ状態で色づき始めるとやってきて「うまい」ところだけをたべては、熟さないところは食べないで色づくまで待っているという繰り返しで、結局我々が食べることができないでさくらんぼの季節は終わってしまった。
翌年、花は咲かせたものの「百舌」のことを思うと怒りがこみ上げてくるので、残念とは思ったものの」育てた「さくらんぼ」の木は「のこぎりで切り倒してしまった。
あれから何年経っただろうか、いまだにあの百舌の泣き声は頭から離れない。
このごろはまた「さくらんぼの苗」を植えてみようかなどと思っている。
今度は「百舌」に腹いっぱい食べさせてやろうと思っている。
あまったものを私がいただくことにしよう。
きっと一粒も食べられないと思うが・・・・・

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