まず、やってごらんなさい。
育てて立派になる楽しみは、格別なものです。
せっかく買って来ても、よそから貰っても、いざ手掛けるとなると、ハテどの枝をどうすればよいのか困った経験はみんな持っています。
ベテランでも初めは何も知らなかったのです。
「どうやって作るのですか？どこを切ればいいのですか？」 と伸びすぎてしまった木を前にして、よく聞かれるときに説明する図を次々と樹種別に基本から一緒にやって見ましょう。
伸びすぎる木、筋間の長生き、やたらと各節に芽を吹いて節を太くしてしまう木、片方の枝ばかり強く伸びる木・・・・
などは良くないのですが、それらは方法によって、或る程度整えて直してやることが出来ます。

・・・・・・・・「自然と盆栽」第30号より

モミジにはモミジらしい柔らかな枝先から立ち上がりまでの個性のある曲線があり、中年までの独立樹形としての開芯自然形という、モミジの姿を持ち、老樹に至っても其の佇まいが必ずあるものである。
松、梅、桜、杉・・・・・・どんな樹種にも、それなりの佇まいを持ち、また微細に見ると、一本一本が先天的個性的な美点と欠点を持っていて、中には珍奇なものがある。
珍奇すぎて醜いもの、必然性のないもの、不自然すぎるものは「本物盆栽」ではない。
美醜は個人によって、少しの差があるから一概には決められないところもある。しかし、広く深く識見を持った人や一技一芸に秀でた人そして大衆の眼は、実に確かなものである。
それに反し、盆栽ばかりいじり回して研究心も無く、勝手に得意になっているような、視野の狭い盆栽人には、本当の美しい盆栽がわからないのでは無いだろうか、と思うようになった。

・・・・・・・・「自然と盆栽」第23号より